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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页
勝家、利家に「貴殿は秀吉と予て懇であるから、今後は秀吉に従い、幼君守立ての為に力を致される様に」と云った。利家は、朝来、食もとらない勝家の為、湯漬を出し、酒を勧めて慰めた。夕暮になって、乗換の新馬を乞い、城下を立ち去ったが、嘗つての瓶破柴田、鬼柴田の後姿は、悄然たるものがあったであろう。
四月二十三日、越前北の庄の城は、既に秀吉の勢にひしひしと囲まれて居た。勝家は城諸共消え果てる覚悟をして居るので、城内を広間より書院に至るまで飾り、最期の酒宴を開いて居た。勝家の妻はお市の方と云って、信長の妹である。始め、小谷の城主浅井長政に嫁し、二男三女を挙げたが、後、織田対朝倉浅井の争いとなり、姉川に一敗した長政が、小谷城の露と消えた時、諭されて、兄信長の手に引取られた事がある。清洲会議頃まで岐阜に在って、三女と共に寂しく暮して居たが、信孝勝家と結ばんが為、美人の誉高い伯母お市の方を、勝家に再嫁せしめたのである。勝家の許に来って一年経たず、再び落城の憂目を見る事になった。勝家、その三女と共に秀吉の許に行く様に勧めるが、今更生長える望がどうしてあろう、一緒に相果てん事こそ本望であると涙を流して聞き容れない。