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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页
天下に恥じて殊死すべき処を、何たる態である」と、詰問したけれども動く気色もない。板倉重昌、石谷貞清両人の胸中の苦悩は察するに余りある。重昌意を決して単身駆け抜けようとするのを石倉貞清止め諫めると、重昌、我等両人率先して進み、諸軍を奮起させるより途はないと嘆いた。進軍して諸軍を顧みるが誰も応じようとしない。従うはただ家臣だけである。重昌その日の出立は、紺縅鎧に、金の采配を腰に帯び、白き絹に半月の指物さし、当麻と名づける家重代の長槍を把って居た。城中の兵、眺め見て大将と認め、斬って出る者が多い。小林久兵衛前駆奮撃して重昌を護るが、丸石落ち来って指物の旗を裂き竿を折った。屈せず猶進んだ重昌は、両手を塀に懸けて躍り込まんとした時、一丸その胸を貫いた。赤川源兵衛、小川又左衛門等左右を防いで居た家臣も同じく討死である。久兵衛重昌の死体を負って帰ろうとしたが、これも丸に当って斃れて果てた。伊藤半之丞、武田七郎左衛門等数名の士が決死の力戦の後、竹束に重昌を乗せて営に帰るを得た。重昌年五十一であった。
石谷貞清も浅黄に金の五の字を画いた指物見せて、二の丸近くに押しよせた。