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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

菊池寛『日本合戦譚』。同一底本的分册已合并为一书。收入:姉川合戦、厳島合戦、川中島合戦、田原坂合戦、長篠合戦、賤ヶ岳合戦、碧蹄館の戦、島原の乱、山崎合戦、鳥羽伏見の戦、大阪夏之陣、真田幸村、応仁の乱、四条畷の戦、小田原陣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 页

青空文庫

彼の豪奢の絶頂は、寛正六年三月の花頂山の花見宴であろう。咲き誇る桜の下で当時流行の連歌会を催し、義政自ら発句を作って、

「咲き満ちて、花より外に色もなし」と詠じた。一代の享楽児の面目躍如たるものがある。併し義政は単に一介の風流人ではなく、相当頭のよい男であった。天下大乱の兆、漸くきざし、山名細川両氏の軋轢甚しく、両氏は互いに義政を利用しようとして居る。ところが彼は巧みに両氏の間を泳いで不即不離の態度をとって居る。だから両軍から別に憎怨せられず、戦乱に超越して風流を楽んで居られたのである。政治的陰謀の激しい下剋上の当時に於て、暗殺されなかっただけでも相当なものだ。尤もそれだけに政治家としては、有っても無くてもよい存在であったのかも知れぬ。

事実、将軍としての彼は、無能であったらしく、治蹟の見る可きものなく、寵嬖政治に堕して居る。併し何と云われても、信頼する事の出来ない重臣に取捲かれて居るより、愛妾寵臣の側に居た方が快適であるし、亦安全であるに違いない。殷鑒遠からず、現に嘉吉元年将軍義教は、重臣赤松満祐に弑されて居るのである。

亦飢饉時の普請にしても、当時後花園天皇の御諷諫に会うや、直ちに中止して居る。