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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
10 その九 覆面屋敷
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,820 字 · 54 页
長いケイレンが終ってから、彼は静かに上体を起した。酔ってユデタコのようだった彼は、今は全く蒼ざめていた。彼はホッと息をついて、一同にニッコリ笑いかけ、
「まるで今日はコクリサマにハラワタや心の臓をかきむしられたように苦しかった。いつもはこんなではないのだが、コクリサマも今夕はあまりの難題で、御立腹だったらしい。私は途中でたまらなくなって、いっそ止めにしていただこうと何度思ったか知れやしない。コクリサマのお告げはなんと出ているのだろうか」
木々彦は道具を分解して筆をぬいた。そこには、たしかに何かが書かれていた。木々彦はその台紙をとりあげて判読しようとしたが、よほど意外であるらしく、彼の顔はひきしまって、いぶかしさに鋭くゆがんだ。
「どうも、妙だ。どうしてこんなお告げがでたのだろう。ワケが分らない。しかし、奇妙じゃないか」
彼は人々にそれを示しながら、
「どうしても、そう読むらしいね。きょうしぬ」
木々彦の声がふるえた。一同はゾッとして台紙の上に目をよせた。妙な模様が描かれているが、しかし、もしも文字に読むとすれば、ヒラガナで、きょうしぬ、と読むしかないようである。