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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
12 その十一 稲妻は見たり
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页
誰かは分りませんが、二人だったのと、男だったことはマチガイないと仰有ってます」
喜んだ両名が小六に訊いてみると、果してオソノの伝えた通りである。井戸は母里家の裏庭の塀際にあって、母里家の母屋からは離れているが、むしろ今村家にとっては、そのすぐ近くまで、小六の部屋の真下に近いところである。雨がやんだので、小六は雨戸をあけておいた。小さなローソクの灯で読書していたが、真下に起った水の音にビックリして下をのぞいた。実にその一瞬にイナズマが光って、井戸と下の塀の中間に塀際へ進んでいるらしい二人の男の姿を見た。ただちに闇にもどって、それ以上は分らなかったが、彼らの跫音も話声もきこえなかったという。
判明したことはむしろ奇怪な事実であった。その井戸には何もなかったのだ。いったい、どうしたワケなのだろうか。
二人が署へ戻って佐々警部補に報告すると、警部も首をかしげて、
「なるほど、実に奇妙だなア。ところで、母里家に怪事があったときいて、他の係りの者から報らせがあったが、浅草のさる質屋からの申告で、昔そのために戦争まで起ったというムカデの茶器とかいう重宝のホンモノらしいものが十日ほど前に入質されたが、それは現在は母里家に所蔵されているのが好事家間には分っているのだそうだ。