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せいざ
星座
有島 武郎
1922(大正11)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页
面倒だからか。そうでもない。どういう心持なのだろう……おぬいはその解決を求めるように渡瀬さんの方を見た。酒焼けというのだろうか、きめの荒そうな皮膚が紫がかっていて、顔全体にむくみが来て、鋭い光を放ってかがやく眼だけれども、その白眼は見るも痛々しいほど充血していた。……酷たらしい、どうして渡瀬さんは酒なんぞお飲みなさるのだろう。それにしても、あれほどの害をまざまざと受けながら、飲みつづけていられるのは、自分たちには分らない訳があることに違いない。私は渡瀬さんが何んだかお気の毒だ。けれども何も知らない私の力ではどうしようもないではないか……つまりこれだけしか分らなかった。
「さてと、今日はどこから……おや、あなた僕の顔を見ていますね。はははは。僕の顔は出来損いですよ。それとも何かついていますか」
渡瀬さんはいきなりそのこね固めたような奇怪な顔を少し突きだすようにした。おぬいは大変な悪いことをしたとおもった。人の醜い部分に臆面もなく注意を向けていたのを……そのつもりではなかったのだが……すまなく思った。といっても、いい訳もできなかった。ただ渡瀬さんの顔の醜いのを物好きに眺めていたのではない。