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とけいやしきのひみつ
時計屋敷の秘密
海野 十三
「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页
そしてガラス天井に、はじめて手をつけた。それはひやりとして、思ったよりは、ずっと厚かった。
失望するのは、死のちょっと手前のことにして、八木君はさっそくジャック・ナイフでガラス天井をつきあげた。
きいーッと、いやな音がして、ナイフはガラスの表面をつるりとすべった。ガラスの方がナイフより硬いのだ。
ナイフの柄の方をかえし、それを金づちがわりにして、下から、がんがんとたたいてみた。ガラス天井は、そのままだった。ナイフの柄についていた角材がかけた。これもだめだ。
「まだもう一つ、やってみることがある。ガラス天井の端まで掘ることだ。そこまで掘れば、上にあがる穴ができるかもしれない」
八木君は、最後の望みをこのことにかけていた。
ガラス天井が土壁にささえられている。そこを横に掘っていくのだ。彼は、刻々にましてくる水面をにらみながら、ジャック・ナイフの刃を水平にして、ガラス天井の下を横に深くえぐっていった。ナイフの刃とガラスがいきおいよくぶつかって、赤い火花が見えることもあった。そしてガラス天井の下は、だんだん奥深く掘れ、八木君のからだが横にはいれるほどになった。