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むらいちばんそうけいせん

村一番早慶戦

佐々木 邦

「冨士」大日本雄辯會講談社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,468 字 · 34 页

青空文庫

「旦那さん」

と忠八が拳を固めて乗り出した。

「何だ?」

「俺、行って一つ打っ食わせましょうか?」

「馬鹿を言うな」

「癪に障りますよ。村一番だと吐かしているんですから」

「その積りらしいから可笑しいんだ」

「でもこの分じゃ敵いませんよ、追々は」

「何うして?」

「旦那は出す方の競争ばかりなさる。八幡さまの改築だと言えば、それ、百円。ポンプを買うと言えば、それ、百円。東金は五十円です。何でも半分で逃げて置いて、取る方の競争じゃ決して負けません」

「まあ/\、見ていろ。今に取っ占めてくれる」

忠八の日参にも拘らず、僕の初めての成績は十番だったと覚えている。上の方は皆小作の子供が占領してしまった。東金君は十二番だった。これには忠八、大喜びをした。それから僕と東金君は上になったり下になったりしたが、いつも十番以下だから、何方が勝っても問題にならない。水車場の息子が一番で通したのみならず、全校切っての成績だったものだから、注意がその方へ向いてしまった。此方は何うでも宜いと思ったのが油断で、席次がドン/\下る。竟に緒方と東金は何方が余計いけないだろうかということになった。二人で組んで暴れたのである。