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しょうえんじょしのおもいで
松園女史の思い出
金子 薫園
「京都」1950(昭和25)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,745 字 · 4 页
られなかった。ふと傍の白い障子に刺す京の晩春の斜めの陽が、辞し去りがたい愛着を感じさせた。と、いつか女史のかたへに来て居った、女史に似た眉目の麗しい童すがたが、見知らぬ私の方をものめずらしそうに見るのであった。それは今京都画壇の中堅である松篁さんであった。
鶯はまだ啼きやまない。
窓越しに見ると、莟のふくらみかけた大木の丁子の枝遷りして、わが世の春の閑かさ暖かさをこの時に萃めているように。
(昭和二十五年)