轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えいぞうのし
栄蔵の死
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,295 字 · 77 页
悲しい中にも後楯を得たお節は、前よりも一層甲斐甲斐しく何でも彼でもきり廻した。
栄蔵は、今まで、自分の心にこんな感情があるとは夢にも思わなかった或る感情に悩まされ始めた。
胸の張った、手足のすらりとし高い、うす赤い達の体が自分の傍にあると非常な圧迫を感じた。
一つ毎に、白い三日月のついた爪、うす紅の輪廓から、まぼしい光りの差す様な顔、つやつやしい歯、自分からは、幾十年の前に去ってしまった青年の輝やかしさをすべて持って居る達を見る毎に押えられないしっとが起った。
親として子の体を「やきもちやく」と云う事は実に有得ない事である。
けれ共衰弱しきって居る栄蔵には、前後の考えもなく只、うらやましかった。
斯う力強いものが目の前にあると余計自分の命が危くなる様で、なるたけ、そばによせつけなかった。
何が気に入らないか教えて呉れと達が云っても返事もせず、体を動かしてもらう時、少し下手だと云っては、物も云わず、平手で達の手や顔を打った。
もうむずかしいと思えばこそ達はその病的な叱責にあまんじて居た。
達は、父の不快の原因をいろいろと考えたけれどもまさか、自分の肉体が、父の感情を害して居るなどとは思いつき様もなかった。