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くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1949(昭和24)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,815 字 · 79 页
悠二郎は心から怒って、祖父に向ってこう詰問した。
「先殿もそのまえの殿も若死をなすっていらっしゃる。それはみんな早く結婚するためじゃありませんか、準斎先生も早婚はその者の躯にもよくないし、生れる子も劣弱になり易いと云ってますよ、そのくらいのことがお祖父さまにはおわかりにならないのですか」
「わかっているさ、――みんな、おそらく誰だって承知しているだろう」
「ではなぜ黙っているんです、どうして止めようとなさらないんです。向うは女の十七でいいだろうけれど、若さまは十六でもおくのほうじゃありませんか」
「だがこれだけは、どうにもならないんだ」
そして虚木老は語った。五代まえから、ふしぎに藩主が若死をする、光覚院というひとから先代の浄松院まで、たいてい二十二か三で病死してしまう。そのころ大名の家では早婚が通例であって、名目だけにしても十三四で結婚するものさえ少なくはない。――そのためもあろう、同時に医者のみるところでは、躰質的な遺伝のようなものもあるらしい、室井準斎は浄松院をも診た医者であるが、若君信太郎の躰質に、父と共通した点が多いことを指摘している。
「人間の寿命はわからない、どんな名医にも人間の寿命を当てることはできまい、しかし五代も続いて早逝し、躰質が似ているものとすれば、――おそれ多いことだが、いちおう御短命