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ふくろうのめ

梟の眼

大倉 燁子

「キング 一三巻三号」1937(昭和12)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,354 字 · 23 页

青空文庫

と云って、新聞記事を読み上げた。刑事を知っているので、特別に興味を感じているらしかったが、陽子は何だか厭な気持ちがした。だが、黙っていても悪いと思って、

「山梨刑事ッて、どんな方?」

とお世辞に訊いてみた。

「まだ若いが、なかなかの敏腕家だよ。庁内きっての美男子で、女のような優しい顔をしている、スリ仲間じゃ、鬼山梨で通っているそうだ」

「そんな奇麗な人を、鬼だなんて可哀想ねえ」

陽子はその話をいい加減に打ち切ってしまいたかったので、枕時計を見て、

「あら! もう、八時過ぎてるわ」と吃驚したように飛び起き、急いで寝室を出た。次の間の大きな姿見鏡に、彼女の顔が真青に映った。頭がずきずき痛む。

夫が外出したら実家へ行って、春樹に相談しよう。こういうことは何人よりも、彼が一番よく理解してくれるだろう。助けてもくれるだろうし、きっと好い智恵も貸してくれるに違いない。

彼女は心の苦しみをかくし、つとめて元気らしく装っていた。軈て夫を玄関に送り出すと、早速実家へ電話を掛けてみたが、兄はまだ起きていなかった。急用が出来たから、後刻行く、と云い残して、電話室を出ようとしたら、扉の前に女中が待っていて、