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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,285 字 · 330 页

青空文庫

竹そよぐ

ということであった。

甲斐はそう書いていた。

――一ノ関(兵部宗勝)は、彼を利用するだけ利用したうえ放りだした。大学はそれに気がつかず、首席国老の位地が、自分の力量によるものと誤信し、権力に酔って、みずから墓穴を掘ったようなものである。

――万治の大変のとき、彼は茂庭周防の罪を鳴らした。綱宗さまに放蕩をすすめたのは茂庭である、と主張し、茂庭のような人間と同席では御奉公ができない、自分は辞任すると云い、一ノ関が支持する態度をみせると、自分ひとりに国の仕置を任せてくれるなら、国老の位地にとどまろうと居直った。

――こうして、茂庭周防が病気を理由に辞任したとき、大学はそれが自分の力によるものであると信じ、以来、しだいに我意をふるって、家中ぜんたいから憎まれ、指弾されるに至った。もちろん、こんどの罷免を自分の過誤によるものとは思わないであろう、すでに江戸番の老職へ、なにやら訴えて来たようである。これからも例の気性で、うるさく騒ぎたてるに相違ない。仙台でどんな工作を始めるかもしれないから、よく注意していて、必要と認めることがあったら知らせてよこすように。

――増し合力について、涌谷(伊達安芸)さまが、自分の知行二万二千石を献上する、と申し出られてから、富塚内蔵允、中島伊勢、また佐兵衛(宗規)さまなどまでが、同じよう