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しまでをかたる

死までを語る

直木 三十五

「話」1933(昭和8)年9月号~1934(昭和9)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,739 字 · 85 页

青空文庫

この海女の前に、へらへら踊があった。黄色い手拭で、頬冠りをして

へらへったら、へらへらへ

はらはったら、はらはらは

へらへらへったら、へらへらへ

と、唄いながら、坐ったままで、扇を動かしているだけの、智慧の無いものであるが、それが、相当人気があったのだから、大部、今日と、人心がちがう。初めて見ただけに、この印象は、強く残っている。

その次に見たのは「改良剣舞」、女ばかりで、剣舞の真似と、芝居の真似とをするものであるが、これは、大変、気に入って

頃は元暦元年の

どんどん

源平、須磨の、戦いに

いつか、放送局で、この節をやったが、私も中々上手である。すっかり、憶えてしまった。憶えたが、唄った事もないし、剣舞の真似をした事もなかった。矢張り、読み、書くだけであったが、特務曹長は、二年の間の、二度の休暇に、この二つの見せ物を見せて、私に、千日前のある事を教えてくれた。

所が、千日前よりも、私には、もっと、魅力のあるものが、近くへ出来た。辻という貸本屋である。鹿やんに、お伽話を聞いていた私は、そういう種類を、暫く中断されていたが、この貸本屋が出来て、講談本が、棚へ陳ぶと同時に