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えいきゅうへいわのせんけつもんだい

永久平和の先決問題

大隈 重信

「大觀 第二卷第一號」大觀社、1919(大正8)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,090 字 · 22 页

青空文庫

かくの如く人類は漸進して来ている。

由来、英国は他の欧州諸国よりも人道的には頗る進歩していた国柄で、これを植民地の上に徴するも、かの西班牙、葡萄牙、和蘭というが如き国々と比べては著しく寛大なものであった。けれどもなお且つ当時は慣用された古い植民政策に誤られて幾多の欠点も有ったのだが、英国は植民虐待の没人道なる事を悟ったが故に、時と共にこれを改善して今日に至り、而してこのたびの欧州大戦の教訓を契機としてまたまさに人道的の一大躍進を断行せんと欲するに至った。米然り。仏もまた然り。今やかの兇暴なりし独逸の帝国主義、軍国主義は崩壊して人道主義は大なる威厳を現し来り、幾千年来の吾人の抱懐し来りし理想の実現の時に臨んだ。平和会議に集る世界の列強の使臣にして、この人道の根柢をさえ忘却する事なくんば、ここに掲ぐる二大問題の解決の如きは誠に易々たるのみである。グローシス以来すでに約三百年、その間連盟は幾たび行われたか知らぬ。けれども盟も信無くんば益無し。これを以て戦乱はついに絶ゆるを得なかったが、しかしこのたびの戦乱の未曾有の凄惨事で有っただけ、それだけこのたびの全人類の自覚もまた未曾有に大なるを疑わず。