轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
天下の英雄寧ろ幾人ぞ
此の閣何人か是れ主人
巨魁来巨魁来巨魁来
北京を振り出しに、この詩は、田舎へまでも拡がった。中華民国の津々浦々で、唄うともなく童の口から、口癖のように唄われるのであった。
古事に詳しい老人達は、訳の解らないこの詩の意味を、昔に照らして考えては見たがどういう意味だか解らなかった。
十一
それは明月の夜であった。金雀子街の道に添うてすくすくと立っている梧桐の木には、夜目にも美しい紫の花が、梵鐘形をして咲いている。家々の庭園には焔のような柘榴の花が珠をつづり槎たる梅の老木の蔭の、月の光の差し入らない隅から、ホッ、ホッと燃え出る燐の光は、産まれ出た螢が飛ぶのであった。
粋な、静かな、金雀子街の、その穏かな月光の道を、体を寄せ合った男女の者が、今、ひそやかに通って行く。
何か囁いてはいるらしいが、この初夏の名月の夜の、あたりの静寂を破るまいとしてか、その話し声はしめやかであった。時刻は十二時に近かった。そのためでもあろうか、この平和な屋敷町の往来を行き交う人は男女以外にはいなかった。二人の歩く靴の音だけが、規則正しく響いている。