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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
そのため約千五百メートルから二千メートルのあたりが、まるで両国の大川開きの花火のようだった。
ところが、その次の瞬間であった。甲板のすぐ真上に、ぱらぱらぱらと弾けるような音がして、眼もくらむようなマグネシウムの大光団が現れた。その光団はしずしずと風にあおられて流れる様子だ。飛行甲板の上は、真昼のように照らし出された。日本の飛行機が、光弾を放ったのだった。
照空灯は、幾条も幾条も一つところへ集ってきた。二千メートル以上の上空をとんでいる日本機の翼に、照空灯が二重三重四重に釘づけになっている。
「誰かあれを飛行機で追いかける者はいないか」
と、司令塔の上ではリット少将がせきこんで叫んでいた。が、誰もこれに応ずる者はなかった。無理もない。味方の砲撃の間を縫って、日本機を追いかけるのは、自殺行為と選ぶところがないではないか。
日本機は、癪にさわるほど悠々と二千メートルの高空をぐるぐるまわっていた。高射砲弾はぱっぱっと花傘をひらいたように、日本機の前後左右に炸裂する。こんどこそは砲弾が命中して、機体はばらばらにとび散ったかと思われる。がしばらくすると煙の横から、日本機は悠々と白い腹をくっきりと現すのであった。