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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

そのため上甲板は大騒ぎとなった。

警鐘が乱打される。消火班は、日本の飛行機が焼夷弾を落したのかと勘ちがいして、かけつける。

ところが近よってみると、そこら一面に、石油がまいてあって、それが炎々と燃えあがっているのであった。

「誰だい、こんなところに油なんかこぼしていったのは」

と消しにかかった。するとまた別なところに、三箇所、同じように三角形に燃えだしたのであった。

「あれ、変だぞ」

「これじゃ、日本の飛行機に飛行島の所在を知らせるようなものじゃないか」

「ひょっとすると、スパイの仕業かもしれないぞ」

「なに、スパイ?」

スパイという声に、騒ぎはいよいよ大きくなっていった。

その最中に、突然、飛行島上から、数条の照空灯が、暗い大空に向け、ぱぱーっと竜のようにのぼっていった。

「あっ、敵機だ」

「どこだ」

「あれあれ、あそこだ」

「おや、なにか黒いものを落したぞ」

その時、

だだだーん、だだん、だだだーん。

突如として鼓膜をつんざくような烈しい砲声が起った。高射砲が飛行機めがけて火蓋を切ったのだ。

だだだん、がんがんがん。

あっちからもこっちからも、高射砲は砲弾を撃ちあげた。