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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
この機転が、それからどんなに監視隊員の眼をくらましたか、又杉田二等水兵がリット少将の面前で首実検した屍が、誰のものであったかは、最早語るまでもないであろう。
それにしても一身を国に捧げて正しい道を歩く者には、こうした天の助があることを思わぬわけにはゆかない。
× × ×
大分時は過ぎたがまだ夜は明けない。飛行島の無線室へは、付近航行中の英艦隊より無電が入った。
「――只今、駆逐機六機ヲシテ、怪飛行機ヲ追跡セシメタリ」
という電文であった。
リット少将の喜んだことはひととおりでない。
「もう大丈夫だ。そうむざむざとこの飛行島が脅かされてたまるものか」
と、両手をうしろに組んで、檻に入った狼のように司令塔の中を歩きまわるのであった。
そのときスミス中尉が少将に近づいて、
「閣下、只今甲板の上に、怪しげなものを発見いたしました」
「なんじゃ、怪しげなるものとは……」
「はっ、それはなんとも実に不可解な記号が、甲板の上いっぱいに書きつけてあるのでございます」
「不可解な記号? 誰がそんなものを書いたのか」
「いいえ、それが誰が書いたとも分からないのでして。