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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
「おう、昨夜の写真はできているか」
と、空曹長が外から声をかけると、中からは、仲よしの西條兵曹長の声で、
「おう、今、できた。しずかに入ってこい」
「なに、もうできとるか。いやに勿体ぶるな。それならなにをおいても第一番に俺様に見せなきゃいかんじゃないか」
とふざけながら室内へ威勢よくとびこんだが、足を踏みいれること僅か一二歩で(しまった!)と思った。同時に、はっと挙手の敬礼をした。――
無理もない。室内には、すでに艦長水原少佐以下の幹部士官が集っていて、いきをのむようにして、つぎはぎだらけの卓子かけよりも大きい空中撮影写真に見入っているところであった。
柳下空曹長は、うらめしそうに西條の方を見れば、西條の眼は、「それみたことか。だから『しずかに入ってこい!』といったではないか」
といたずらそうに笑っている。
艦長はほほえみながら、柳下の方を向いて、
「おお、どうだ。元気は回復したか」と思いやりのある言葉をかけ、それから柳下のとってきた空中撮影写真を指さしながら、
「これを見よ。お前の奮闘の甲斐あって、この写真に川上機関大尉の生死に関する重大な手がかりが現れておる」