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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
と思ったが、男は、彼の足首を握って、念いりに洗うのであった。そのとき男は、しきりに彼の足の指――ことに足の拇指と第二指との間の隙間をじろじろとながめていたようである。
風呂から上って外へ出ると、ちゃんと小ざっぱりしたタオルのガウンがおいてあって、これを体にまとった。それから食堂であった。
入口に委員がいて、彼の赤札第一号に、口をあいてはあーと大きな息をはいてみてくれという。彼がそうすると、委員は変な顔をして、第一号の口中の臭を、すんすんと嗅いでいた。
それがすむと、食卓に坐らされた。大きな丼に、うまそうな蕎麦がいっぱい入っている。それを食べろというので、傍にあった長い箸――それは日本の箸の二倍も長いやつだった――をとりあげて、ぬるぬる逃げまわる蕎麦を食べた。
それがすむと、これを読んでみよと、何だか日本文字を書いた紙片をもってきた。第一号はそれを見せられたとき、
「わしにはさっぱりわからぬ」
と、あっさり断った。
そこを出ると、また卓子を前にひかえた中国人委員がいて、
「貴様は落第だ。かえってよろしい」
と、横柄な口をきいた。
こうして第一号は放免されたのだった。