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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
突然、うしろから肩を叩かれた。それはまったく思いがけないできごとだった。
その瞬間、川上機関大尉の脳髄は、びりびりと痺れた。とうとう見つかったのか。
「おや、ここに変なものが転がっている。これは日本刀じゃないか。そして、あっ、たいへんな血だ! おい、これは一体どうしたんだ」
とうとう最悪の場合となった。
しかし、あわててはいけない。
「なあに、大したことではないよ」
「なに?」
「黙れ!」
川上機関大尉は、くるりと身をかえすが早いか、相手の脾腹めがけて、得意の当身を一つ、どーんと食わせた。
「うーむ」
へたへたと足許に崩れるようにのびたのを見れば、これも下士官だった。なんと弱い奴ばかりではないか。
(そうだ。杉田の用に、この下士官の服をもらってゆこう)
川上機関大尉は、また相手の服をぬがせにかかった。
ところが、この相手はなかなか手強い奴だった。彼は人事不省を装っていたのだ。だから川上機関大尉のちょっとの油断をみすますなり、隠しもっていた呼笛を口にあてて、ぴーいと一声高く、乗組員に急をつげた。
「うむ、やったな!」
川上機関大尉は、電気にかかったようにとびあがった。