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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
日中戦争のときも、英国海軍はたびたび眼にあまる邪魔をしたではないか。なにが誤解だ。なにが師弟関係だ。世界大戦のとき英国海軍に力をあわせ、印度その他の英国領土を守ったり、運送船を保護したりして、恩こそ与えてあるが、こっちが恩になったことはないのだ。こんな癪にさわる話など聞きとうもない。その上、侮辱を加えられたり、調べられたりするくらいなら、死んだ方がましだ。こうなっては川上機関大尉を探すことは、まず百中九十九までむずかしい。
彼は遂に死のうと決心した。帝国軍人は恥を知る。こいつらの慰みものになるくらいなら死んだ方がましだ。
「くそっ、――」
杉田は隙をうかがい、体をひねって、彼をおさえている無頼漢をその場にふりとばした。そして相手のひるむ隙に、さっと入口から甲板の上へとびだした。
英人たちはびっくりして、あとを追いかけた。この騒ぎにひきかえして来たスミス中尉も、一しょになって追いかけた。
杉田二等水兵は、うしろに手錠をはめられたまま、死にものぐるいで甲板を走る。彼は海中にとびこむつもりだ。
スミス中尉は、たまりかねてか、ピストルを右手にもちなおすと、杉田の背後めがけて覘をさだめた。