轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
彼は杉田二等水兵の到着に早くから気がついていた。上官の身の上を案じてひそかに南シナ海を泳ぎわたってきた部下の情を知って、どんなに嬉しく思ったことだろう。が同時にまた苦しくもあったのだ。なぜなら、自分ひとりでさえ隠れるのに骨が折れるのに、日本語しかわからない杉田が来たのでは、とうてい永く秘密にしておけるものではない。これは困ったことになったと思った。果せるかな、それは意外にも早くやって来たのだ。
「おい杉田。もう泣くな。いま俺たちのうしろには、敵の眼が数百となく迫っているのだ。わが帝国のためを思えば泣いているときじゃない。涙を拭って、すぐさま敵と闘わねばならないのだ。――ほら、誰かこっちへやってくる」
「えっ、――」
「黙っていろ。動くな。どんなことが起っても動いちゃならん」
高い声でしゃべりながら、どやどやとこっちへやってくる人の足音。
「どうしても、この付近だ。わが英国製の方向探知器に狂いはないんだ」
「よし、そんなら部屋を壊してもいいから、徹底的にしらべあげろ」
「こんどは、こっちだこっちだ」
早口の英語が、すぐ傍まで来た。
ここは何かの物置らしい。
隙だらけの入口の板戸をとおして、強い手さげ電灯の光がいたいほど明るくさしこんでくる。