轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きえたミジアム

消えた霊媒女

大倉 燁子

「オール讀物 四巻一一号」文芸春秋、1934(昭和9)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,605 字 · 31 页

青空文庫

それだけに帰朝の日が定ってからというものは、勝田さんは暗い顔をして、暇さえあれば毎日のように宅へ来て、私の傍を離れませんでしたが、日が近づくにつれて段々口数も少くなり、憂鬱な眼顔をして絶えず何事か考え込んでいる様子が、私には、何かしら薄気味悪く思われるくらいでした。

勝田さんはフランス船で帰朝の途につく事になり、公使を始め主立った館員達や私共夫婦は船まで見送りに参りました。思ったよりも割合元気で、甲板でシャンペンを抜いて出発を祝ったことでした。その時勝田さんは自分の船室を見せて上げるからというので、従いて行きますとスチーマー・トランクから小さい紫縮緬の帛紗包を出して、

『実は紀念にあげたいものがあってお連れしたんですよ』

と云われました。渡された包みを、私が開けて見ようとしますと、勝田さんは慌ててそれを押えつけて、口早やにいうのでした。

『いけません。いけません。今開けてはいけません』

そうしてやはり押えたまま、

『これはあなたを信用して私が差上げるものなのです。日本へ着いたら電報を上げますから、その電報が届いたら直ぐ開けてみて下さい』

『では――。それまではお言葉通りにいたしましょう。