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おんせんへでかけたすずめ

温泉へ出かけたすずめ

小川 未明

「赤い鳥」1928(昭和3)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,988 字 · 10 页

青空文庫

「あのからすといい、また、電線といい、なんというしんせつで、ものしりなんだろう……。私は、しあわせものだ。」と、すずめは飛びながら思ったのです。

はたして、山を越すと、もう雪はなかった。そこには、すでに、春がきているように、はたけには、青々として、去年の菜が、新しい芽を出していました。

彼は、木立の枝に止まって、友をほしそうに鳴いていたのです。

すると、このあたりにすんでいるすずめが飛んできて、同じ木にとまって、この見なれない旅のすずめをしみじみとながめていましたが、

「あなたは、どこからおいでになって、どこへおいきなさるのですか?」とたずねた。

「私は、どこへというあてはないのです。どこか暮らしいいところがあれば、いってみたいと思うのです。」と、北の国のすずめは答えた。

「そうでございますか。自分で、そういうのもおかしいが、この土地は、いいところですよ。それに、この汽車の通る沿線にいれば、人間が窓から投げるいろいろのものがあったりして、食べるのに困ることはありません。あなたさえ、その気になられたら私たちの集会場へきて、会長にお話しなされば、明日からでもみんなと、友だちになることができます。