轻松读懂日语经典作品
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はなかみろうにん
濞かみ浪人
吉川 英治
「サンデー毎日 新春特別号」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,425 字 · 39 页
『ほかでもないが、藩邸の中で、近頃しきりに噂にのぼるらしいが――何か、噂の火元は、其許自身の口からだと人は申すが』
『それは? ……。ははあ、思い当ることもある』
『妹のことです。お覚えがありますか』
『ござりまする』
『お千賀と、すでに婚約があるような事を仰っしゃるそうだが、小山田家としては、ちと迷惑に存ずる。どうか、あのような事は、以後云われぬようにして貰いたい』
『いやあ、ついそんな事を云い申したが、以後は云い申さぬ事にいたしまする。まだ、いずれにしても、両三年は、お取極めなさるまいな』
『何もまだ、考えておりません。とかく、人の口端はうるそうござる。足繁く宅へお遊びに来られる事なども、お互の為、暫く、お慎みくださらぬか』
数右衛門は、言葉の表に現われた事だけしか聞かない。で、彼はむしろ、その晩の酒を、祝福して充分過ごした。庄左衛門の方は、それで結構、こっちの意志は通じたものとして、一足先に、帰ってしまった。
『……ああ、又酔ったか。こ、これはいかん、もう何刻か?』
数右衛門は、酔いつぶれていた。――ふと眼をさますと、妓もいない、庄左衛門の姿もない。
手を叩く、呶鳴る。