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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

貴様は何者か」

岸隊長も、こんどは日本語でどなりつけた。

「やあ、どうもわが海軍軍人の前でわらってすみませんでした」

と、かの若者は頭を下げ「私は四国の生れで竹見太郎八という者です。この貨物船平靖号の水夫をしています」

「ふん、竹見太郎八か、お前、なぜこんな中国船の水夫となってはたらいているのか」

「はい。私はなにも申上げられません。しかし、さっきも申しましたとおり、船長があなたにお目にかかりたいといっていますから、まげて船長の公室へおいでくださいませんか。これにはいろいろ事情がありまして……」

水夫竹見は、俄にていねいになって、岸隊長をうごかそうとする。その熱心が、彼の顔にはっきりあらわれているので、隊長もその気になって、彼に案内をめいじた。

このような小さな貨物船に、船長の公室があるというのも笑止千万であるが、ともかくも岸隊長は、隊員の一部をひきつれて、竹見のあとにつづいて公室の入口をくぐった。そこは船橋のすぐ下で、船長室につづいた室だった。

入ってみて、またおどろいた。

室内は、こんな貧弱な船に似合わず、絢爛眼をうばう大した装飾がしてあって、まるで中国のお寺にいったような気がする。