轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
てん
点
小川 未明
「新天地」1909(明治42)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,063 字 · 17 页
けれど翁は、赤目のちぢれ毛の、怠惰者の夫に向っては神を説き聞かしたことが一度もない。
何となれば翁は、斯様怠惰者の酒飲は到底言っても役に立たぬ、神は決して斯様人をも救い給わぬといって始めから眼中に入れずにいる。……翁は、未だ曾てこの大男の顔をしげしげと見たことがない。路上に転がっている石の如く思っていた。
翁は自分の居間で食事をしたり、寝たりするのは赤目のちぢれ毛の跛も決して見たことがないという。食事の時、寝る時共に厚い扉を堅くしめて、総べて秘密にしている。ただ毎朝早く翁は、町に出て、自分で野菜を買いに行くのが例である。――肉や、パンは先方で車を引いて来て小僧が届けることになっている――が青々とした野菜や、紅い果物を翁は毎日のように買いに出た。或時は風呂敷に包んで来る。或時は、露わに片手に林檎を握って、片手に青菜を揺下げて帰る。
いつの頃からか翁は外国人だという説が持ち上った。いや雑種人だ。いや全くの日本人だという説がある。けれど全く翁は、何方とも分らぬ程の不思議な人物である。
メソジストの全国教会名簿には、翁の名は何と書てあったろう?
翁に向ってその名を問うと頭を振って決して答えない。