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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
そして自分が、あのやさしい彦田道子夫人の一粒種であることを知ったのであった。多分このお守袋は、彼女がミマツ団員の誰かに拾いあげられた当時、気のきいた女団員が、後日のために、ひそかに二重のお守袋をつくって、房枝の膚につけ、きせておいたものらしい。房枝とは幼少からの芸名だったのだ。
「やっぱり、あの奥様は、房枝さんのほんとうのお母さまだったのね。あたしも、うれしいわ」
スミ枝はそういって、房枝の手をとった。
「ありがとう。ありがとう」
房枝とスミ枝は、抱き合ったまま、声をあげて泣きだした。これが泣かずにいられるであろうか。
かくして、房枝は、彦田博士の実子であったことが確定した。
房枝のよろこびはもちろん大きいが、これを彦田博士や夫人道子が知ったら、どんなにおどろき、そしてよろこぶことであろうか。一刻も早く、道子夫人のところへ駈けつけて、名乗をあげなければならない。
だが、ここに、心配なことがある。房枝は、はたしてこれから両親の前に出て、なつかしい膝に顔をうずめることが出来るであろうか。なぜならば、おそろしき呪の爆薬の花籠は、やがてものすごい音響をあげて爆裂することになっているのであった。