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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
自然の深さが、夜の闇、そこで生きているという力一杯の蛙の声々で、非常にポテンシアルな豊饒さで迫って来たのを思い出します。数年前、栄さんと信州に行ったことがありました、あのとき木の葉に小さな蛙がとまっているので、栄さんが珍しがって、ホラ又いた、ソラそこにいると云って歩いたことがあった。四国に――小豆島にそういう蛙いないのですって。
母が若い娘の頃、お風呂に入っていたらいきなり背中へピシャリと冷たいものがとびついたので、キャッと云ったらそれは青蛙だったという、いかにも明治初年の向島あたりらしい話もある。この向島の家は、築地の家の隠居所であった由。私が五つ六つで行った頃は裏に蓮池がありました。青みどろが浮いていた。ここは震災で滅茶になり、後とりがあるようなないような形で今は江井、ね、もと林町にいた、あれがアパートをやって居ります。
ハハア、私がここにいるのでKという運転手遠慮して下へおりた。寝たいかもしれない。では、私もその細君を忍耐して下へ行こう。では又、ね。サロメチールつけたので、びっこ大分楽です。
二十二日
きょうは久しぶりではっきり晴天になりました。