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りかきょういくのこんてい
理科教育の根底
丘 浅次郎
「東亜の光 13巻11号」1918(大正7)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,018 字 · 12 页
理科の事柄を授けて、生徒をして単にこれを覚えしめるだけならば、別にこれを妨げるものはないが、将来の理科の進歩をはかるために、研究心を養成しようと努める場合には、その妨げをなすものはたくさんにある。研究の源は疑いにあるゆえ、研究心を養成するには、まず疑うてかかる癖を付けることが第一に必要であるが、物を疑うてかかる精神の態度と、なにごとでもいい聞かされたことをそのままに信ずる精神の態度とはとうてい両立せぬ。研究心とは、自分のなるほどと思わぬことはどこまでも追求して、真偽を確かめねば承知せぬ心で、他人が何というても、充分得心の行かぬ間は決してこれに従わぬ。これと全く正反対に位するのは圧制的にある信仰を強いられながら、これを平気で信じ、しかも強いられていることを心付かずにいるごとき心の状態である。もしも世の中が、かような人々のみであったならば、研究ということは少しも行なわれず、したがって発明も発見も決してできぬであろう。研究には考え方の自由なることを要し、考え方が自由ならば他より信仰を強いられても、これに服従することはできぬ。されば同一の脳髄をもって、両方を同時に兼ねることは不可能であって、一方が進めば、他方は退くの外はない。