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びわでん

琵琶伝

泉 鏡花

「国民之友」1896(明治29)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,081 字 · 24 页

青空文庫

」

「是非とも肯かなけりゃ、うぬ、ふン縛って、動かさねえぞ。」

と伝内は一呵せり。

宜しこそ、近藤は、執着の極、婦人をして我に節操を尽さしめんか、終生空閨を護らしめ、おのれ一分時もその傍にあらずして、なおよく節操を保たしむるにあらざるよりは、我に貞なりとはいうことを得ずとなし、はじめよりお通の我を嫌うこと、蛇蝎もただならざるを知りながら、あたかも渠に魅入たらんごとく、進退隙なく附絡いて、遂にお通と謙三郎とが既に成立せる恋を破りて、おのれ犠牲を得たりしにもかかわらず、従兄妹同士が恋愛のいかに強きかを知れるより、嫉妬のあまり、奸淫の念を節し、当初婚姻の夜よりして、衾をともにせざるのみならず、一たびも来りてその妻を見しことあらざる、孤屋に幽閉の番人として、この老夫をば択びたれ。お通は止むなく死力を出して、瞬時伝内とすまいしが、風にも堪えざるかよわき婦人の、憂にやせたる身をもって、いかで健腕に敵し得べき。

手もなく奥に引立てられて、そのままそこに押据えられつ。

たといいかなる手段にても到底この老夫をして我に忠ならしむることのあたわざるをお通は断じつ。激昂の反動は太く渠をして落胆せしめて、お通は張もなく崩折れつつ、といきをつきて、悲しげに、