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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
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丹生川平へやって来て、茅野雄が驚いたことと云えば、決して一つや二つではなかった。
従妹の浪江が美しくなり、神々しいまでに霊的になり、だから陰気になったこと。伯父の覚明が訳の解らないほど、不思議な人間に変わったこと。
丹生川平という別天地が、何とも云えない気味の悪い土地で、丘ではあるが日あたりが悪く、四方森林にとりかこまれていたり、随所に洞窟や古沼などがあったり、一つの巨大洞窟の奥に、異国めいた造りの神殿があったり、そういう古沼の岸のほとりや、森林の中などに無数の住民が、家を作って住んでいたり、洞窟の中にはいろいろさまざまの、諸国から来た病人が、お籠りをして住んでいたり、そういう境地の一所に、堂々としてはいたけれど、暗く寂しく物恐ろしく、覚明の屋敷が立っていたり、等、等、等というような事が、「驚き」の主なるものであった。
茅野雄が、この土地へやって来るや、浪江は最初から驚喜したが、覚明の方は、それほどでもなく、
「うむ、茅野雄か、何と思って来たぞ?」
こんなように云ってから形をただし、
「俺に関しての行動に、一切干渉してはならない。洞窟の奥の神殿へは――わけても、神殿の内陣へは、決して入って行ってはならない。