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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
「雄弁」1928(昭和3)年9月~1929(昭和4)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,598 字 · 182 页
以前と同じような問答の後に、関門の扉が同じように開けられ、そうして同じような格闘が、以前のように行なわれたあげく、番人が地上へころがされ、茅野雄と浪江とが先へ進んだ。
こうしてまたも関門へ出、同じような状態で関門を破り、先へ進んで行った時、茅野雄と浪江とは前の方に、一つの怪異な光景を見た。
「これは大急ぎで行かなければいけない」
大森林の中を白河戸郷をさして、歩いていた一ツ橋慶正卿は、にわかにこう云って碩寿翁達を見た。
「それはまた何ゆえでございますかな?」
こう碩寿翁は意外そうに訊いた。
「お前達みんなが取り合おうとしている、その物が人の手に渡ろうとしている」
「いやそれは大変なことで! ……しかしどうしてそのようなことが?」
「わしだけには解る理由があるのだ」
「ではこうしてはおられませんな」
「それに二人の立派な男女が、虐殺の憂目に逢おうとしている」
「丹生川平ででございますかな?」
「そうだ、丹生川平でだ」
「急いで行こうにも道程はあり、ことには歩きにくい森林ではあり……」
「そうだ、どうも、それが困る」
慶正卿はこう云ったが、四辺に放牧されている、野馬の群へ眼をつけると、