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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
岡本綺堂『異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二』。同一底本的分册已合并为一书。收入:海亀、鴛鴦鏡、鐘ヶ淵、こま犬、水鬼、指輪一つ、離魂病、木曽の旅人、西瓜、白髪鬼、百物語、妖婆、停車場の少女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 页
それを察したように、彼はまた言った。
「君、決して遠慮することはないよ。どうで田舎のことだから別に御馳走をするわけじゃあなし、君ひとりが百日逗留していても差支えはないのだから、帰りには是非寄ってくれたまえ。僕もそのつもりで待っているから、きっと寄ってくれたまえよ。廿七日か廿八日ごろに京都を立つとして、廿九日には確かにここへ来られるね。」
「それじゃあ廿九日に来ることにしよう。」と、私はとうとう約束してしまった。
「都合によると、僕はステーションへ迎いに出ていないかも知れないから、真っ直ぐにここへ来ることにしてくれたまえ。いいかい。廿九日だよ。なるべく午前に来てもらいたいな。」
「むむ、暑い時分だから、夜行の列車で京都を立つと、午前十一時ごろにはここへ着くことになるだろう。」
「廿九日の午前十一時ごろ……。きっと、待っているよ。」と、彼は念を押した。
四
その日は終日暑かった。日が暮れてから私は裏手の畑のあいだを散歩していると、倉沢もあとから来た。
「君、例の西瓜畑の跡というのを見せようか。昔はまったく空地にしてあったのだが、今日の世の中にそんなことを言っちゃあいられない。