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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

岡本綺堂『異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二』。同一底本的分册已合并为一书。收入:海亀、鴛鴦鏡、鐘ヶ淵、こま犬、水鬼、指輪一つ、離魂病、木曽の旅人、西瓜、白髪鬼、百物語、妖婆、停車場の少女。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,507 字 · 291 页

青空文庫

ここへ押寄せて来たのは浮田秀家と小西行長の両軍で、小袋喜平次も必死に防戦したそうだが、何分にも衆寡敵せずというわけで、四、五日の後には落城して、喜平次秋忠は敵に生捕られて殺されたともいい、姿をかえて本国の土佐へ落ちて行ったともいうが、いずれにしても、ここらでかなりに激しい戦闘が行なわれたのは事実であると、故老の口碑に残っている。

ところで、その岡の中ほどに小袋明神というのがあった。かの小袋喜平次が自分の城内に祀っていた守護神で、その神体はなんであるか判らない。落城と同時に城は焼かれてしまったが、その社だけは不思議に無事であったので、そのまま保存されてやはり小袋明神として祀られていた。僕の先祖もこの明神に華表を寄進したということが家の記録に残っているから、江戸時代までも相当に尊崇されていたらしい。それが明治の初年、ここらでは何十年振りとかいう大水が出たときに、小袋明神もまたこの天災をのがれることは出来ないで、神社も神体もみな何処かへ押流されてしまった。時はあたかも神仏混淆の禁じられた時代で、祭神のはっきりしない神社は破却の運命に遭遇していたので、この小袋明神も再建を見ずして終った。