轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きけいのてんにょ

畸形の天女

江戸川 乱歩

「宝石 第八巻第十一号」1953(昭和28)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,893 字 · 35 页

青空文庫

ふたりは、暗闇の中に腰をおろしたまま、長いあいだ、じっとしていた。

「死んじゃったのね」

「ウン」

松永はまだ思考力が回復しなかった。

「生きかえりやしない?」

松永が返事をしないでいると、少女はそこに落ちていたナイフを拾って、死体の胸を刺そうとした。それを見ると松永はハッと正気に返った。

「いけない。血を流しちゃいけない」

あわてて少女の手を押さえ、ナイフを取り上げてしまった。

少女は、いきなりそとへ駈け出して行った。非常に素早かったので、引きとめるひまもなかった。どうしたのだろう。死体がこわくて、逃げ出したのだろうか。それとも、松永に罪を着せて、自分だけのがれるつもりだろうか。いや、そんなはずはない。あれはそんな娘じゃない。

死体の胸に手を当ててみると、心臓はまったく止まっていた。とうとうハイド氏は人を殺した。いわば正当防衛だった。しかし自首する必要はない。ただ消えてしまえばいいのだ。松永昌吉が、この世から消滅してしまえばいいのだ。ふみ子はだまっているだろう。たとえしゃべっても、松永昌吉は、もうこの世にはいないのだ。しかし、これが大切な夢の国の終焉だと思うと悲しかった。