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はっくつしたびじょ

発掘した美女

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第四号」1953(昭和28)年11月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 29 页

青空文庫

まったく、そう推論してもよいような難路であり、小径であった。

谷底に滝がいくつもあった。そして、そこに一軒の旅館があった。一列にしか歩けない吊橋を渡るとその旅館である。

「オ! 電燈がついてる! 自家発電だ」

「ア! 一組のお客がいるわ!」

二階の窓から、オバアサンと二十前後の娘と小学生の少年が手をふって迎えている。一夫は眼をかがやかして、

「なかなか美人の娘じゃないですか。ヒナには稀な」

「近くで見ると、どうかしら」

「遠望に限るのかな。油絵だね」

今までまったく見なれない異様な人相の老人が黙って出迎えた。オデコが広く、鼻とアゴが細く尖っている。そして顔は赤銅色で、鳥類、もしくは天狗、それも木ノ葉天狗というのに似ていた。

二階から、少年を先頭に、娘、バアサンの順で駈け降りてきたが、木ノ葉天狗を認めると、少年はおどろいて立止って、

「やア、ジイサン、出てらア。珍しいな。山じゃアなかったのかい。オイラはまた、誰もお客さんを迎えてやる人がないと思って、出迎えにでてきただよ」

「アッハッハア。ジイサン、旅館の主人でねえか。コンチハしなくては、いかんべい。ただ突ッ立ッてるだけでは、いかねえな」