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しろいみち
白い道
徳永 直
「新潮」1948(昭和23)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,169 字 · 36 页
と、深水がきくのに、嫁さんははずんだ調子でこたえている。
「シゲちゃんは、妾より一つ上よ」
「二十一か」
三吉があがらぬので、しぜん夫婦もうしろへきてすわっている。
「――うちは百姓だけど、兄さんが大工さんだって。もうシゲちゃんもそろそろ、ねェ」
三吉はくらくなってきた足もとをみていた。彼女は紙巻工であった深水の嫁さんの同僚で、深水の結婚式のとき、てつだいにきていた彼女を、三吉は顔だけみたのである。
「どうだあの子、いままで男なんかあったか?」
「そんなこと――」
くっくっと嫁さんは笑いこけている。――ないでしょう――。
その嫁さんのわらいごえが、三吉をあたためてくれるようだった。女房をもとうか? どんなに貧乏だってかまわない。ゆくゆくは子供がうんとできて、自分の両親のようになってもかまわない。――
「おれが、あの娘に話してみるか?」
うしろで、夫婦が相談はじめている。
「それともお前がきいてみるか?」
「そうね」
「どっちにせ、青井の奴ァ、三年たっても自分じゃいえない男だから」
それでまた夫婦がわらい声をたててから、こんどは急に気がついたふうに嫁さんは、顔をかくしていたうちわを離すと、