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かていしゅうかんのおしえをろんず

福沢諭吉家族論集

福沢 諭吉

福沢諭吉『福沢諭吉家族論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:家庭習慣の教えを論ず、日本男子論、教育の事。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,942 字 · 66 页

青空文庫

その行わるるや不規則なるが如くにして、ただ精神を誠の一点に存し、以て幸福円満欠くることなきを得るのみ。然るに戸外の公徳は、ややもすれば道理に入ること多くして、冷淡無情に陥らんとするの弊なきにあらず。最も憂うべき所にして、ある人の説に十全の正直は十全の親愛と両立すべからずといいしも、この辺の事情を極言したるものならん。古今の道徳論者が世人の薄徳を歎き、未だ誠に至らずなど言うは、その言不分明にして徳の公私を分かたずといえども、意のある所を窺えば、公徳の働きに情を含むこと未だ足らずして、私徳の円満なるが如くならずというの意味を見るべし。されば今、公徳の美を求めんとならば、先ず私徳を修めて人情を厚うし、誠意誠心を発達せしめ、以て公徳の根本を固くするの工風こそ最第一の肝要なれ。即ち家に居り家族相互いに親愛恭敬して人生の至情を尽し、一言一行、誠のほかなくしてその習慣を成し、発して戸外の働きに現われて公徳の美を円満ならしむるものなり。古人の言に、忠臣は孝子の門に出ずといいしも、決して偶然にあらず。忠は公徳にして孝は私徳なり、その私、修まるときは、この公、美ならざらんと欲するも得べからざるなり。