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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

番頭に蹴飛ばされそうになる雛どもを、ソーッと彼方へやりながら、禰宜様は幾度も幾度も辞退した。

が、番頭はきかない。

とうとう喋りまかされた禰宜様宮田は、海老屋まで出かけることになった。

店の繁盛なことや、暮しのいいことなどを、しまいに唇の角から唾を飛ばせながら喋る番頭の傍について、在の者のしきたり通り太い毛繻子の洋傘をかついだ禰宜様は、小股にポクポクとついて行ったのである。

海老屋では、家事を万事とりしきってしているという年寄り――五十四五になっている先代の未亡人――が会った。

金庫だの箪笥だのを、ズラリと嵌め込みにした壁際に、帳面だの算盤だのをたくさん積み重ねた大机を引きつけて、男のような、といっても普通の男よりもっとバサバサした顔や声を持ったおばあさんが、ムンズという形容がおかしいほど適した形をして座っているのを見ると、あれでもおばあさんだそうなという感じが、一層禰宜様宮田の心をまごつかせた。

「はあ、お前さんが宮田とお云いか……」

丁寧に頭を下げた彼の挨拶に答えた、彼女の最初の、太いかすれた声を聞いた瞬間から、もうすっかり彼の心は、受身になってしまって、いつもの「俺」