轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねぎさまみやた
禰宜様宮田
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页
番頭がそう云って隠居の部屋へ挨拶に行く毎に、海老屋の年寄りは会心の笑を洩していたのである。
まったくおきまり通りになって来るわえ……。
年寄りの心には、ちょうど藪かげに隠れて、落しにかかる獣を待っている通りな愉快さが一杯になっているのである。
何にも知らない獲物は、平気で頓間な顔付きをしながら、ノソノソ、ノソノソとだんだん落しに近づいて来る……。
そのとき猟人の胸に満ちる、緊張した原始的な嬉しさが、そのまま今年寄りに活気を与えて、何だか絶えずそわそわしている彼女は、きっとこういうときほか出ないものになっている無駄口をきいたり、下らないことに大笑いをして、
「ヘッ、馬鹿野郎が!」
などとつぶやく。
その馬鹿野郎というのは、決して憎しみや、侮蔑から作男共に向って云われたのではない。
これからそろそろと御意なりに落しにかかろうとする獲物に対する非常に粗野な残酷な愛情に似た一種の感情の発露なのである。
年寄りは、着々成功しかかる自分の計画の巧さに、我ながら勢立ってますます元気よく朝から晩まで、馳けずりまわって働いていたのである。
三度まで無駄足を踏ませられても、怒る様子もないばかりか、使をよこすのを止めようともしない……。