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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,662 字 · 68 页

青空文庫

話の模様では大変いいらしい。

けれども町の様子や、そういうところの仕来りなどを皆目知らない禰宜様宮田は、責任をもって判断は出来なかった。

「俺ら、おめえ等に指図あしかねる。

けんども、はあ何んでもお前等が仕合せになってんだら、行ぐも悪かあなかっぺえ。

俺ら、おめえらが仕合せにせえなりゃ、どの道、何よりはあ嬉しいだからなあ……」

自分のような、利口に世の中を立ちまわれない者を父親にもって、何の仕合せも受けられない娘達が、自分等で働いていい目に会って行こうというのに、そりゃあいけない、止せとは云いきれない。云いきれないだけ彼は娘に愛情を持っていたのである。

いやがる者をとめて置いて、もうどうせ潰れるにきまったような家と運命を共にさせるには忍びない。

決心しかねて彼が迷っているうちに、話はぐんぐんはかどって、とうとう娘達は五年間の年期で町へ行くことになり、二十五円の金が親達に渡された。

娘達は、まるで祭り見物に行くように嬉しがって、はしゃいで行ったのだけれども、証文と引きかえに渡された金を見ると、禰宜様宮田は何ともいえず胸のふさがるような心持になって来た。