轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わたしのおぼえがき

私の覚え書

宮本 百合子

「女性」1923(大正12)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,746 字 · 18 页

青空文庫

と、笑った。

七時五分、金沢駅のプラットフォームに降ると、私は、異常な光景に目をった。もう此処では、平常の服装をした人などは一人もいない。男は脚絆に草鞋がけ、各自に重そうな荷と水筒を負い、塵と汗とにまびれている。女の数はごく少く、それも髪を乱し、裾をからげ、年齢に拘らず平時の嬌態などはさらりと忘れた真剣さである。武装を調えた第三十五連隊の歩兵、大きな電線の束と道具袋を肩にかけた工夫の大群。乗客がいつもの数十倍立てこんだ上、皆な気が立った者ばかりだから、その混雑した有様は言葉につくせない。誰も自分の足許をしっかり見ているものなどはなく、又、押し押され、おちおち佇んでもいられない。上野行の急行に乗込む時は、人間が夢中になって振り搾る腕力がどんな働をあらわすか、ひとと自分とで経験する好機会であったと云うほかない。

列車は人と貨物を満載し、膏汗を滲ませるむし暑さに包まれながら、篠井位までは、急行らしい快速力で走った。午前二時三時となり、段々信州の高原にさしかかると、停車する駅々の雰囲気が一つ毎に、緊張の度を増して来た。在郷軍人、消防夫、警官などの姿がちらつき手に手に提灯をかざして、警備している。