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くうちゅうふんぼ

空中墳墓

海野 十三

「新青年」博文館、1928(昭和3)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,986 字 · 28 页

青空文庫

りたいのです」

「なに、松風号の最後?」と私は相良十吉の前に驚きの眼を瞠ってみせた。「あれは東京からコースを西にとり、確かインドシナあたりまでは飛んでいるのを見かけた者があるが、それっきり消息を断ってしまった、というのでしたね。各新聞社の蹶起を先頭として続々大仕掛けの捜査隊が派遣せられ、凡そ一年半近くも蒙古、新疆、西蔵、印度を始め、北極の方まで探し廻ったが、皆目消息がしれなかった、というのでしたね。海中に墜落しているのじゃないかと紫外線写真器でありとあらゆる洋上で撮影をやってみたのだが、矢張り駄目だったというのでしたね」

「おお、先生はよく覚えていて下さいました。実は、私もあの事件に関係がある人間なので捜査に奔走しましたが……」

「そうでしたね。相良さんは、松風号の設計家の一人だったのですな」

「やあ、これまで御存知でしたか。それで私はどんなにか手を尽して探したことでしょう。私自身も探検隊を組織して印度の国境からゴビの沙漠へかけて探しにゆきました。結果は何等得るところなしでした。全く行方がわからない。これ程さがして知れないものなら、松風号は空中爆発でもして一団の火焔となって飛散したのじゃないか、と随分無理なことまで思いめぐらして見たものでした」