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べにすずめ
紅すずめ
小川 未明
「早稲田文学」1921(大正10)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,210 字 · 9 页
まず、あの風を切る工夫をしなければなりません。」と、こまどりはいいました。
すずめは、大空を仰いでみました。
「なるほど、雲が走っています。あなたのおっしゃるように大風が吹いているようすです。どうしたら、私の小さな体が、風に吹き飛ばされずに、高く、高く飛んでゆくことができますでしょうか。教えてはくださいませんか。」
「それほどまでに、あなたがおっしゃるなら、教えてあげます。あなたは、これから三年の間、荒い海の上で風に吹かれながら飛ぶ稽古をなさるのです。そして、それができるようになったら、日輪のいるところを目がけて翔けて上がるのです。」
すずめは、感心して、美しいこまどりのいうことを聞いていました。
この話を黙って聞いていたからすは、鳴きながらどこへか飛び去りました。つづいてこまどりが、すずめを見下ろして、
「また、お目にかかります。」と、一言残して、からすとは、反対の方向へ飛んでいってしまいました。
独り、木の枝に残されたすずめは、このとき決心いたしました。それからまもなく、すずめも、北をさして姿を消してしまったのです。
あるときは、すずめはつばめにまじって、岩に砕ける白い波を見下ろしながら、海の上を翔けりました。