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おだのぶなが
織田信長
「季刊作品 第一号」創芸社、1948(昭和23)年8月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,950 字 · 36 页
ジジイはそれを怖れたのである。
斎藤道三も六十ぐらいのジジイであった。これが又、当時天下に隠れもない大悪党の張本人の一人であった。かの老蝮は天下の執政である、この色男のジジイは大名である。地位に多少のヒラキはあるが、悪逆無道の張本人と申せば、当時誰でもこの二人のジジイに指を折り、その三本目は折らなかったものである。
浪士の家に生れ、幼少の折、京都の妙覚寺へ坊主にだされた。花のような美童で、智慮かしこく、師の僧に愛され、たちまち仏教の奥儀をきわめて、弁舌のさわやかなこと、若年にして名僧と称されるに至った。
二歳年少の弟弟子に南陽房という名門の子弟がいて、これが又、学識高く、若手にして諸学に通じる名僧で、二人は非常に仲がよかったが、道三は坊主がイヤになって、還俗し、女房をもらって、油の行商をはじめた。
辻に立ち、人を集めて、得意のオシャベリで嘘八百、つまりテキヤであるが、舌でだましておいて、一文銭をとりだす。サア、サア、お立会い、ヘタな商人はジョウゴについで油をうる、腕も悪いが油も悪い。タアラ、タラタラと一とすじの糸となって流れでる油、これが、よい油だよ。