轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びだんしとたばこ

美男子と煙草

太宰 治

「日本小説」1948(昭和23)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,526 字 · 9 页

青空文庫

これでも、善行という事になるのだろうか、たまらねえ。私は唐突にヴァレリイの或る言葉を思い出し、さらに、たまらなくなりました。

もし、私のその時の行いが俗物どもから、多少でも優しい仕草と見られたとしたら、私はヴァレリイにどんなに軽蔑されても致し方なかったんです。

ヴァレリイの言葉、――善をなす場合には、いつも詫びながらしなければいけない。善ほど他人を傷けるものはないのだから。

私は風邪をひいたような気持になり、背中を丸め、大股で地下道の外に出てしまいました。

四五人の記者たちが、私の後を追いかけて来て、

「どうでした。まるで地獄でしょう。」

別の一人が、

「とにかく、別世界だからな。」

また別の一人が、

「驚いたでしょう? 御感想は?」

私は声を出して笑いました。

「地獄? まさか。僕は少しも驚きませんでした。」

そう言って上野公園の方に歩いて行き、私は少しずつおしゃべりになって行きました。

「実は、僕なんにも見て来なかったんです。自分自身の苦しさばかり考えて、ただ真直を見て、地下道を急いで通り抜けただけなんです。でも、君たちが特に僕を選んで地下道を見せた理由は、判った。