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しば、あざぶ

芝、麻布

小山内 薫

「東京日日新聞」1927(昭和2)年10月25日~30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,170 字 · 15 页

青空文庫

谷崎はどんな先輩をも決して崇拝しなかった。かれは初めから一人で自分の道を歩いた。

私がおつきあいで書いた「反古」というエロチックな短編が禍いをなして、第二次「新思潮」は第一号を出すと、直ぐ発売頒布を禁ぜられた。

編輯人としては私の名が署してあった。私はその時分下渋谷に住んでいたので、新宿の警察署へ呼び出された。

「どうも、この小説は少し色っぽいですなあ。」

なんでも、そんなことを若い法学士の署長さんがいった。そして、始末書を書かされた。それで済んだのかと思っていると、その始末書を証拠に起訴された。その結果、雑誌を没収された上に、同人の中でその当時一番金の自由になった木村が罰金を払った。

私は若い人達――といっても、実をいうと、そんなに年は違わないのだが――のために、雑誌の後見役になって、書かないでも好いものをおつきあいに書いたために、みんなに飛んだ迷惑をかけてしまった。これは今でも済まないと思っている。

その上に、私はその短編の内容について、読売新聞か何かで、内田魯庵先生にひどくしかられたのを覚えている。

こないだ、久しぶりに芝浦へ行って見ると、第一埋立地の広くなっているのに驚いた。